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入札不成立

Dsc00866 以前、NHKの「クローズアップ現代」で「入札不成立」について扱った番組を放映していた。

その時扱っていたのは地方での事だったので、設計価格から何の根拠もなく5~10%も切った価格を予定価格としている町村であればさもあろうと思っていたが、国の工事でも入札不成立が相次いでいるという。

国が06年度に発注した公共工事1万778件のうち11%、1188件で入札が成立しなかったことが国土交通省の調べでわかった。応札がゼロだったり、応札額が予定価格の上限を上回ったりしたケースが目立つ。同省によると、05年度以前の不成立は年間100件程度。民間の工事が好調な一方、公共事業は「脱談合」などでもうからなくなったため、「公共事業離れ」が進んだとみられる。(座小田英史)

各地の地方整備局から不成立の報告が相次いだため、国交省は今年4月、初めて全国調査を実施した。05年度以前の不成立件数について、同省関係者は「年に100件程度」としており、10倍超に急増した計算だ。

不成立は、とくに民間工事が活発な関東地方に集中。関東地方整備局が発注した2006件では約2割が不成立だった。

同局分では今年度に入ってさらに不成立が増えており、4~8月で約3割、8月に限ると計177件の約半数が不成立だった。

不成立急増の理由として、国交省は、景気の回復傾向で全国的に民間工事が好調なことををあげる。日本建設業団体連合会の会員企業による民間建設工事受注額は、前年度比2.7%増で、07年度も4~8月は前年度比9.4%増だった。

一方公共事業では、05年末の大手ゼネコンによる「談合決別宣言」以降、安値での応札が続いており、公共工事の平均落札率(予定価格に対する落札価格の比率)は01年度の96%から06年度は89%へ落ち込んだ、大手ゼネコンの間では「収益性が低い工事をやっている余裕はなくなった」(幹部)との声が多い。

国の入札制度改革も後押ししている。国交省は、談合が難しくなるとされる一般競争入札の対象工事を拡大しており、3億円以上だったのを06年度から2億円以上に、07年度からは1億円以上に改めた。同省によると、入札不成立は3億円以下の小規模工事に多いという。

入札が不成立の場合、関連予算は翌年度に持ち越される。国は複数の工事をまとめて大型の事業にし、再び入札を実施しているなど工夫しているが、不成立のうち3割程度は何度入札しても成立しないという。関東地方整備局管内では千葉県柏市の歩道バリアフリー工事で3回、埼玉県桶川市の交差点の渋滞対策工事で2回、それぞれ入札したが、成立しなかった。

国交省は今年末から、不成立となった入札について業者側から見積りを取り、予定価格を決める新方式をとりいれる。「工事の遅れで市民生活に影響が出かねない」との懸念からだ。

ただ、業者側の意向をもとに予定価格を決めると工事費が割高になり、国民負担が増すおそれもある。

こういう記事を取り上げてくれるのはうれしいのだが、なぜ入札が不成立になっているのか、原因の究明に対する突っ込みが今一足りないと思う。

「国交省は景気の回復傾向で全国的に民間工事が好調なことをあげる」って、それを鵜呑みにするなんてバカじゃないの。

公共事業ってのはどちらかというと土木工事の方が圧倒的に多い訳で、土木の民間工事なんてほとんど無いに等しいのにも関わらず、こういう事を平気で言う国交省も国交省なら、それを真に受けるメディアもメディアだと思う。

一部の大きな都市ではそりゃ民間建築工事は好調だろうけど、地方ではそれすら好調じゃない。

どこが「全国的に」だっ!

これは役人の詭弁に他ならない。

地方の中小建設業者は土木専業のところが圧倒的に多く、公共工事以外ではほとんど食っていく術がない。

にもかかわらず「入札不成立が多発している、特に「3億円以下の小規模工事に多い」(3億なんて工事は地方の業者にとっては大規模工事だけどなー。3億以下は小規模と言い切る役人のは明らかに大手しか意識に無いのだろうな)というのは、金が合わないからとてもじゃないけどやってられないっていう意思表示なはずだ。

小さな業者になればなるほど請負代金の金額が低くなるのだから、適正な利益が出る工事を受注したって金額ベースにすればたかが知れている。

かつてのようにやり切れないほど工事があれば1件や2件ぐらい赤字が出てもそれを補えただろうが、適正な受注量を確保できない現状では、赤字工事が1件でもあればそれは倒産に直結する危険を孕んでいる。

うちは国交省の土木工事は受注した事がないので又聞きでしかないが、どの業者の話を聞いても、国交省のほとんどの工事は赤字だと言う。

2千万や3千万の工事で1年も引っ張られたり、当初の設計と竣工時では全く違うものになっていたり、契約してから何ヶ月も手を付けられない状態が続いたり、途中中止命令も出さずに何ヶ月も工事を中断させたりするという事が日常茶飯事行われているという。

今の国交省の入札形態では、条件が付いていてほとんど国交省の仕事を経験した業者じゃなくては応募すらできないケースが多い。

であれば、過去に苦い経験をしている業者は応募しなくなるのは当然だし、落札しても当初の設計とは全く違うものになってしまい、その設計変更等の経費を考慮したら予定価格内ではとうてい足りないからそれを見越した金額で応札すれば予定価格オーバーになってしまうのは当然の帰結なのだろうと思う。

そもそもが、材料費など、業者から取った見積りを何の根拠もなく一律何割引という、実際には買えないような単価にしてしまったものを積み上げられたのではとてもじゃないけど鼻から合う訳がない。

入札不成立が多くなったのは当然の帰結という訳だ。

その辺の事が分かっていれば、「業者側の意向をもとに予定価格を決めると工事費が割高になり、国民負担が増すおそれもある」なんて事は書けないはずだ。

いかにも予定価格は正しいものであり、入札が不成立になるのは異常事態だと謂わんばかりの締めくくりにがっかりした。

こういう記事を取り上げてくれるのはありがたいが、もっと本質を突いた記事を書いてもらいたいものである。

建設投資が激減しているにも関わらず、どうして入札不成立が増加しているのかという本当の理由はどこにあるのかという事を・・・

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